DLTを手作りする体験型ワークショップ in 厚真町 開催報告
- virtusnike
- 2025年12月13日
- 読了時間: 4分

2025年12月7日、北海道厚真町にて、町産の広葉樹を用いた「DLT(Dowel Laminated Timber)を手作りする体験型ワークショップ」を開催し、建築関係者、設計者、家具職人、デザイン系学生など約30名が参加しました。
午前の森林ツアー、午後のDLT製作ワークショップという二部構成で開催し、特にDLTの手作り体験を通じて、厚真町の多様な広葉樹が新たな建材として活かされる可能性を皆さんと共有できました。
厚真町は町面積の7割を森林が占め、人工林のみならず多様な広葉樹が育つ地域です。
しかし広葉樹は、用材とならずパルプチップや薪として利用されるケースも多く、地域に眠る多様な森林資源の価値を十分に引き出せていないという課題があります。
また、川上(林業)・川中(製材)・川下(建築・加工)の関係者が互いの現場を知る機会が少ないことも、地域材活用の可能性を広げづらい要因とされています。
これらの背景を受け、今回のワークショップでは、厚真町の広葉樹を用いてDLTを実際に製作するプロセスを共有し、「地域の多様な森林資源を、地域の人が加工し建材というかたちで活かす未来」を具体的に描くことを目的としました。
DLTは欧州で約50年前に考案され、ドイツ、スイスの中山間部において、地域に根差したサプライチェーンの中で活用されている木質素材です。
接着剤を使わず木ダボのみで木材を接合するローテク木質素材で、中小規模の木材事業者でも製作しやすい点や、解体しカスケード的な利用もできる点が特長です。
通常、DLTは針葉樹を基材とし、そこに広葉樹の木ダボを通して製造します。しかし2025年夏、厚真町の個人製材工場「木の種社」で、広葉樹を基材としたDLTの試作を行ったところ、ウダイカンバ、シラカンバ、イタヤカエデ、アサダ、シナノキ、ハンノキなど9種類の広葉樹でDLTを製作することができました。
さらに厚真町には、林業事業体・馬搬・製材(木の種社)・木材加工といった、川上から川下までのローカルプレイヤーが小規模ながら揃っており、地域の木材を地域で加工できる流れがすでに存在する、全国的にも珍しい地域です。
こうした環境のもと、広葉樹を基材としたDLTが厚真町で製作できれば、町に育つ多様な広葉樹が新たな用途を持つ素材として活かされる可能性が高まり、大きな期待が寄せられています。

午前の森林ツアーでは、100年先を見据えた多様な森づくりが行われている厚真町の環境保全林や三菱マテリアル(株)の社有林を巡りながら、木がどのような環境で育ち、どのような考え方で森づくりが進められているのかを学びました。
社有林では、20種類もの広葉樹が育っている一方で、実際に用材として活用されるのはそのうち5〜6種類に限られている現状が紹介され、森林の多様性を活かした利用の必要性についても触れられました。
こうした学びは、午後に行われたDLT製作で扱う広葉樹の多様性ともつながり、「普段扱う木材の背景が見えた」という感想も寄せられるなど、参加者が川上側の視点を得る貴重な機会となりました。


森林ツアーでの学びを踏まえ、午後のDLT製作ワークショップでは、様々な広葉樹の基材を一枚一枚積層し、木ダボを打ち込みながら厚真町産広葉樹によるDLTを製作しました。
樹種によって異なる色味や質感が積層によって独自の意匠となり、「広葉樹が建材になるイメージが大きく変わった」「素材としての可能性を実感した」という声が多く聞かれました。



今回のワークショップは、多様な広葉樹をそのまま活かせるDLTという素材を通じて、地域の森林資源をより高い価値で循環させる未来の可能性を、参加者とともに考える第一歩となりました。
厚真町の豊かな広葉樹資源が、建材や空間づくり、家具などのプロダクトに活かされることで、森林の多様性を守り、地域の資源が地域内で循環する地消地産の新しい動きが生まれることが期待されます。
共催:厚真町・木の種社・(株)長谷川萬治商店・北海道胆振総合振興局協力:(一社)ATSUMANOKI96
【問い合わせ先】 (一社)ATSUMANOKI96 担当:今廣 メール:atsumanoki96@gmail.com Web:https://www.atsumanoki96.com
【DLTに関する問い合わせ先】 (株)長谷川萬治商店 担当:鈴木康史 メール:yasufumi.suzuki@haseman.co.jp


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